勝新太郎『座頭市』 VS 北野武(たけし)『座頭市』

『座頭市』といえば、

勝新太郎のライフワークともいうべき日本を代表するアクション時代劇ですが、

私が始めて『座頭市』にワクワクしたのは、本家の勝新版ではなく、北野武監督のリメイク版でした。

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北野版『座頭市』は2003年公開作ですが、

印象深い「キタノブルー」を背景に、スタイリッシュなビートたけしの殺陣と、

浅野忠信や岸部一徳など、クセ者 揃いの俳優陣のクールな演技、

そして最近の北野映画では常連となった、お馴染みムーンライダーズの鈴木慶一の無機質な映画音楽。
今でも何度も観かえしますが、ほんとうに酔いしれるような作品です。
座頭市が雨で仕込み杖を思わず滑らせて、

「チッ」と舌打ちするような表情など、非常に細かい演出なども、観るたびに唸らせれます。
また本作では、たけし軍団のガダルカナル・タカがコミカルな役どころで脇を固めますが、

その演技はかならず笑いをとりながらも、真剣に演技されているため、

そんなコメディ要素も作品のクールさをまったく損ないません。
北野版『座頭市』は、勝新亡き後に数々リメイクされた『座頭市』のなかでも、

群を抜いてクオリティが高い作品だと思います。
しかし北野版を観たあとに、たまたま勝新太郎最後の『座頭市』である、

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本家『座頭市』は凄い作品

1989年公開の勝新太郎監督作『座頭市』を観たのですが、これがとんでもない作品でした。
本作公開当時、撮影時に勝新太郎の長男である奥村雄大の日本刀(真剣)が、

誤って子分役の俳優の首に刺さって死亡する事件が起きて、

テレビではこのスキャ ンダルばかりクローズアップされていたのは覚えていますが、

まだ子どもだった自分としては今更時代劇なんて古臭い・・・みたいな印象を持っていたので、

まったくスルーしていました。
しかし改めてこの昭和の『座頭市』を鑑賞すると、

現代では絶対に撮影できないようなパワーと”粋”を感じさせる、

これまたクールな作品だと思い知らされました。

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バブル期もそろそろ終わりかけの時代ですが、

当時としても莫大な予算が使われたそうで、

そういう意味でも現代では絶対成立しない作品だと思います。
勝新監督はその場のイメージ重視なため、

撮影時は脚本は全く無視され、アドリブ演出も多かったそうです。
現場も大変混乱したことでしょうが、

演技達者な俳優陣は監督の無茶な要求をきっちりとこなしたんだなーと、

作品を観て感じます。
特に、最後に雌雄を決する浪人役の緒形拳と勝新太郎との掛け合いは、

今の若い人には絶対に理解できないと思うほど、

少ない抽象的なセリフながら、お互いの心情をとても”粋”に表現しており、

2人の会話シーンを観ると思わず涙が出てしまいます。
ストーリーは往年の『座頭市』の王道なお話ですが、

脚本と演出が昭和の作品とは思えないほど、現代的でクールであり、

そしてなにより、勝新の殺陣は神懸り的なほどかっこいいです。

やっぱりオリジナルの『座頭市』って感じです。
北野作品と勝新の時代劇アクションは、邦画の宝だと思います。


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