北陸代理戦争の悲劇、深作欣二がヤクザ映画を辞めた理由

北陸代理戦争は実話、モデル射殺の悲劇

深作欣二は東映で実録ヤクザ映画を多数監督していた。

実録とは、実際に起こった事件や、実在の人物のエピソードを、
物語にアレンジして作品にするという手法で、
話にリアリティがあるという事で、

当時人気になったジャンルです。

 

全くのノンフィクションではありません。

ところどころオリジナルの話を織り交ぜます。

 

しかし、
登場人物の名前や、組織名をアレンジして、

物語もフィクションを織り交ぜていますが、

実際に事件に関わった人達に取材をして、
作っているので、

真実の部分もかなり出てきます。

 

深作欣二が監督した実録映画は、

仁義なき戦いシリーズ
新・仁義なき戦いシリーズ
仁義の墓場
県警対組織暴力
北陸代理戦争

などがあります。

今日取り上げるのは、

この作品、

深作欣二の実録映画の最後の作品
北陸代理戦争(昭和52年)となります。

こちらが、映画の予告です。

YouTube

この作品以降、

深作欣二はヤクザ映画を撮っていません。

実はこの映画が原因で、

とんでもない事件が起こったからです。

 

事件はまさに悲劇としか言いようがありません。

 

何故今日この話を書こうと思ったのかというと、
この本を読んだからです。

「映画の奈落」

この本は、当時この映画を撮影する裏側が書かれています。

この映画のモデルとなる、

川内弘組長のインタビューの書き起こしや、

この映画の脚本家の思い、

撮影の様子など、

かなり細かく取材されています。

 

この本を読んでから、

もう一度映画を見直してみると、
成る程、あの時の本人のエピソードが、

このシーンになっているのか。

など、

かなりの部分で実際にあったエピソードを、

映画に散りばめているのが分かります。

 

しかし、この映画の裏で起こった悲劇があります。

 

今日は映画の内容と、

その悲劇となった「三国事件」について、

書きたいと思います。

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映画「北陸代理戦争」の悲劇三国事件

三国事件は昭和52年4月13日、

福井県三国町にある喫茶店「ハワイ」の店内で、

当時福井県三国を本拠地にする川内組の川内弘組長が、

4人のヒットマンにより射殺された事件です。

 

川内組長の川内組は、

当時全国に14の支部を持ち、

組員が400名もいる日本でも有数のヤクザ組織でした。

 

川内組長は「北陸の帝王」と呼ばれていました。

 

実はこの事件が起こった原因は、

当時東映が制作して公開した映画、

北陸代理戦争にありました。

映画北陸代理戦争のストーリー

北陸代理戦争は、

北陸のヤクザの抗争を描いた映画です。

主人公川田登(松方弘樹)は、

三国事件で射殺された川内組長がモデルです。

福井市にある安富組の若頭だった川田は、

親分の組長(西村晃)から、
競艇場の利権を貰う約束をしていたが、
組長はその約束を破る。

怒った川田は親である組長を雪の中に埋めて、

顔だけ出させ、その周りを車で、

ビュンビュン走るというリンチを加える。

 

川田にやり込められた親分は、

大阪の広域暴力団浅田組(山口組がモデル)の武闘派組織を束ねる、

金井(柳川次郎がモデル)に助けを求める。

金井は北陸に進出する事が目的で、

その親子ゲンカの仲裁に乗り出す。

 

そして、多くの兵隊を北陸に送り込んできた。

 

金井は組織の意向を無視して、

強引な方法でどんどんシマを広げていく為に、
浅田組の中でも目の上のたんこぶの様な存在だった。

 

川田は金井に対抗する為に、

浅田組のナンバー2、若頭の岡野(菅谷政雄がモデル)と盃を交わし、
金井に対抗する。

岡野達の助けもあって、金井の排除に成功するが、

金井と入れ替わりに、岡野が北陸に進出してくる。

 

川田は兄貴分の岡野とも対決する事を決める。

 

岡野が福井に出している店を金井組の残党を使って、

めちゃくちゃにする。

 

川田の本性を見抜いた岡野は、

 

川田に言う。

 

「盃いうもんをどう思とんねん?」

 

川田はこう答える。

「飢えた狼に盃も茶碗もありゃせんですよ」

「勝てないまでも刺し違える事はできます。
虫けらにも五分の意地って言いますからね」

岡野や巨大組織とも戦うという姿勢を川田は見せた。

というお話です。

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リアルタイムで起こっている抗争を描いた

実はこの映画、実際にその時起こっていた事を描いていました。

この主人公の川田のモデル川内組長と、

岡野のモデル山口組の菅谷組長は、

当時対立状態にあったのです。

菅谷正雄とは

菅谷組菅谷正雄組長は、

戦後神戸で国際ギャング団という組織を束ねる首領だった。

ボンノという通り名で知られていて、

その名前は関東まで鳴り響いていた。

 

その頃、三代目山口組田岡一雄組長は、

終戦後暴れていた外国人と対決する為に、

自警団を結成した。

 

菅谷組長は、

朝鮮人連盟本部で一触即発の状態になる田岡組長達の仲裁に入り、

命を救った事もある。

 

山口組は、田岡組長が襲名した時の人数は、僅か33名だった。

 

菅谷組長は舎弟の起こした殺人で逮捕されるが、脱獄を繰り返す。

この事件で、懲役18年の判決を受け収監された。

 

収監中、田岡組長は美空ひばりを伴って、

面会に来た事もあり、親しい間柄だった。

 

45歳で刑務所を出所すると、田岡組長から子分の盃を受け、

菅谷組を結成すると、たちまち組織は巨大化し、

最盛期には1200人の構成員を抱えた。

 

山口組内では最大の組員を持つ実力者だった。

 

映画と同じ様に、菅谷組長の舎弟だった川内組長は、

菅谷組長に様々な不満を持っていて、

菅谷組の集まりにも、出なくなっていた。

 

また、上昇志向の強い川内組長は、

本家の直系組長になる事を熱望していた。

 

菅谷組長を飛び越して、

本家と直接やり取りをしだした。

 

この事に対し菅谷組長は激怒した。

 

そして、東映から、

あなたの半生を映画にさせて下さい、

という誘いが来る。

川内組長は喜んでその話に乗った。

 

菅谷組長は川内組長の映画を作るのも反対だった。

不快感を示し、何度も映画はやめろと、

警告を出したが、川内組長は辞めなかった。

 

映画のクランクインの日、

菅谷組長は川内組長を破門にした。

 

そして、昭和52年2月26日に映画は公開された。

全てが悲劇で終わった映画

川内組長は映画の内容に大変満足したといいます。

自分の生き様がよく描けていると。

 

しかし、映画のラストを見れば、

兄貴分の菅谷組長と対決するぞ!

という姿勢を前面に出している内容になっています。

 

また、映画の中で菅谷組長のモデルが経営するお店を、

めちゃくちゃにするというシーンがありましたが、

これも実際に起こった事で、

川内組長は菅谷組長の店に同じ様な事をしている。

 

結果、同年の4月13日に、

菅谷組長の舎弟頭の意向を受けたヒットマン4人が、

川内組長が通う喫茶店「ハワイ」に乱入。

川内組長を射殺しました。

 

この事件で亡くなった川内組長に起こった事も悲劇ですが、

抗争相手の菅谷組長もこの件で、

本家から絶縁処分を下されます。

 

絶縁されたヤクザは引退するか、

殺されるかのどちらかとなります。

 

また川内、菅谷両サイドの周りにいた人間達は、この事件をきっかけに、

逮捕されたり、堅気になったり人生が大きく変わりました。

 

この作品以降、

深作欣二はヤクザ映画を撮らなくなりました。

 

直接この事件や、この作品に言及した事はありませんが、

この事件がきっかけとなった事は間違いありません。

北陸代理戦争の動画

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最後に

この作品の脚本家、高田宏治は仁義なき戦いシリーズの脚本家、

笠原和夫に激しいライバル心を燃やしたといいます。

 

川内組長と出会った時、

仁義なき戦いの美能幸三(仁義なき戦いの主人公のモデル)以上の素材だと、

興奮したそうです。

 

また、観客動員を増やそうと東映の会社も、

どんどん作品の内容が過激になっていき、

今までは過去に起こった事件を題材にしていましたが、

リアルタイムで起こっている事を映画の題材に使うという、

禁断の果実に手を出してしまったのです。

 

おそらくこの映画が公開されていなかったら、

事件は起こらなかったと思います。

 

そんなリスクを冒してまで、公開された北陸代理戦争でしたが、

皮肉にも全くヒットする事はありませんでした。

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